むら》の店《みせ》に行《ゆ》くのは贅澤《ぜいたく》な老人《としより》である樣《やう》に僻《ひが》んで見《み》える廉《かど》もあつた。只《たゞ》さうして居《ゐ》る間《うち》に舊暦《きうれき》の年末《ねんまつ》が近《ちか》づいて何處《どこ》の家《うち》でも小麥《こむぎ》や蕎麥《そば》の粉《こ》を挽《ひ》いた。
卯平《うへい》は時々《とき/″\》は東隣《ひがしとなり》の門《もん》をも潜《くゞ》つた。主人夫婦《しゆじんふうふ》は丈夫《ぢやうぶ》だといつても窶《やつ》れた卯平《うへい》を見《み》ると憐《あは》れになつて
「身體《からだ》はどうしたえ」と能《よ》く聞《き》いた。
「えゝ、今分《いまぶん》ぢや、さうだに惡《わ》りいつちこともねえが」と卯平《うへい》はいつも煮《に》え切《き》らぬいひ方《かた》をして、其《そ》れを聞《き》かれることを有繋《さすが》に心《こゝろ》の内《うち》に悦《よろこ》んで窪《くぼ》んだ目《め》を蹙《しか》める樣《やう》にした。
「それでも勘次《かんじ》は能《よ》くするかえ」内儀《かみ》さんが聞《き》けば
「ありや、はあ、以前《めえかた》つからあゝゆんだから」卯平《う
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