》けよ」おつぎを促《うなが》し立《た》てた。卯平《うへい》は當座《たうざ》の内《うち》は其處《そこ》ら此處《ここ》らへ行《い》つては自分《じぶん》からは求《もと》めないでも、暫《しばら》く遭《あ》はなかつた間柄《あひだがら》で、短《みじか》い日《ひ》の落《お》ちるのも知《し》らずに噺《はなし》をしては百姓《ひやくしやう》相當《さうたう》な不味《まづ》い馳走《ちそう》に成《な》るのであつたが、段々《だん/\》互《たがひ》に珍《めづ》らしくなくなつてからは彼《かれ》は餘《あま》り外《そと》へも出《で》ないで※[#「煢−冖」、第4水準2−79−80]然《ぽつさり》として好《す》きな煙草《たばこ》にのみ屈託《くつたく》した。彼《かれ》は晝飯《ひるめし》といふと殊《こと》に冷《つめ》たい粗剛《こは》い飯《めし》を厭《いと》うて箸《はし》を執《と》るのが辛《つら》いやうでもあつた。其《そ》れで彼《かれ》は時々《とき/″\》村落《むら》の店《みせ》へ行《い》つて豆腐《とうふ》の一|丁位《ちやうぐらゐ》に腹《はら》を塞《ふさ》げた。皿《さら》の豆腐《とうふ》を隅《すみ》から箸《はし》で拗切《ちぎ》つて
前へ 次へ
全956ページ中555ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング