ぶら》に染《そま》つて居《ゐ》る。土間《どま》の壁際《かべぎは》に吊《つ》つた竹籃《たけかご》の塒《とや》には鷄《にはとり》の糞《ふん》が一|杯《ぱい》に溜《たま》つたと見《み》えて異臭《いしう》が鼻《はな》を衝《つ》いた。卯平《うへい》は天性《ね》が清潔好《きれいずき》であつたが、百姓《ひやくしやう》の生活《せいくわつ》をして、それに非常《ひじやう》な貧乏《びんばふ》から什※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《どんな》にしても穢《きた》ない物《もの》の間《あひだ》に起臥《きぐわ》せねばならぬので彼《かれ》も野田《のだ》へ行《ゆ》くまではそれをも別段《べつだん》苦《く》にはしなかつたのであるが、假令《たとひ》幾年《いくねん》でも清潔《せいけつ》な住《すま》ひをした彼《かれ》は天性《てんせい》を助長《じよちやう》して一|種《しゆ》の習慣《しふくわん》を養《やしな》つた。彼《かれ》が家《いへ》に歸《かへ》つたのはお品《しな》が死《し》んだ時《とき》でも、それから三|年目《ねんめ》の盆《ぼん》の時《とき》でも家《いへ》は空洞《からり》と清潔《きれい》
前へ 次へ
全956ページ中550ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング