た。
「菜《な》つ葉《ぱ》の漬《つけ》たなどうしたんべ」おつぎは顧《かへり》みて聞《き》いた。
「俺《お》ら要《い》らねえや、齒《は》悪《わる》くなつちやつて噛《か》まんねえから」
「そんぢや細《こま》かく刻《きざ》んだらどうしたんべ」おつぎはとん/\と庖丁《はうちやう》を使《つか》つた。
「お汁《つけ》まあ、ちつとも身《み》なんざねえや、よき汝《われ》みんな芋《いも》すくつちやつたな」
おつぎは鍋葢《なべぶた》をとつていつた。
「お汁《つけ》も何《なに》も要《い》らねえから一|杯《ぺえ》掻《か》つ込《こ》んべ」卯平《うへい》は遲緩《もどか》し相《さう》にいつた。
「そんぢや此《この》醤油《しやうゆ》掛《か》けてんべな」おつぎは卯平《うへい》の前《まへ》に膳《ぜん》を据《す》ゑて罎《びん》の醤油《しやうゆ》を菜漬《なづけ》へ掛《か》けた。
「それ、底《そこ》の方《はう》へ廻《まは》つて零《こぼ》れらな」勘次《かんじ》は先刻《さつき》から、怒《おこ》つたやうな羞《はに》かんだやうな、何《なん》だか落付《おちつき》の惡《わる》い手持《てもち》のない顏《かほ》をして、却《かへつ》て自分《じ
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