「俺《お》れ持《も》つて來《く》ればなんぼでも譯《わけ》ねえんだが荷物《にもつ》があるもんだから、此《こ》れつ切《きり》しか持《も》つちや來《き》ねえつちやつた、此《こ》んでも俺《お》ら藏《くら》ぢや此《この》上《うへ》はねえんだ、炊事《かしき》は汝《われ》すんだんべから、汝《われ》そつちへ藏《しま》つて置《お》けな」
「大變《たえへん》だつけな爺《ぢい》、荷物《にもつ》あんのになあ、此《こ》れだけぢや暫《しば》らくあんべよ」おつぎは罎《びん》を柱《はしら》の傍《そば》へ置《お》いた。
「荷物《にもつ》はさうでもねえが、身體《からだ》利《き》かねえでな、どうも」卯平《うへい》は煙管《きせる》を噛《か》んだ。
「爺《ぢい》はどうしたつぺ、お飯《まんま》たべたんべか」おつぎは敢《あへ》ていひ掛《か》けるといふ態度《たいど》でもなく勘次《かんじ》に向《むか》つていつた。
「おらどつちでもえゝや」卯平《うへい》は少《すこ》し遠慮《ゑんりよ》を交《まじ》へていつた。
「どつちでもえゝつて腹《はら》減《へ》つちやしやうあんめえな」おつぎは茶碗《ちやわん》と箸《はし》とを棚《たな》から卸《おろ》し
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