たら鍵《かぎ》が掛《かけ》てあつた。
「居《ゐ》たかえ」それでも卯平《うへい》は呶鳴《どな》つて見《み》たが返辭《へんじ》がない。卯平《うへい》は口《くち》の内《うち》で呟《つぶや》いて裏戸口《うらとぐち》へ廻《まは》つて見《み》たら其處《そこ》は内《うち》から掛金《かけがね》が掛《かゝ》つて居《ゐ》る。彼《かれ》はそれでも煙管《きせる》を出《だ》して戸《と》の隙間《すきま》から掛金《かけがね》をぐつと突《つ》いたら栓《せん》を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《さし》てなかつたので直《すぐ》に外《はづ》れた。彼《かれ》は闇《くら》い閾《しきゐ》を跨《また》いで袂《たもと》の燐寸《マツチ》をすつと點《つ》けた。幾年《いくねん》居《ゐ》なくても勝手《かつて》を知《し》つて居《ゐ》るので彼《かれ》は柱《はしら》へ懸《かけ》てある手《て》ランプを點《つ》けて、取《と》り敢《あへ》ず手足《てあし》を暖《あたゝ》める爲《ため》に麁朶《そだ》をぽち/\と折《を》つて火鉢《ひばち》へ燻《く》べた。煤《すゝ》けた藥罐《やくわん》を五|徳《とく》へ掛《かけ》てそれか
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