を勸《すゝ》めた。彼《かれ》は故郷《こきやう》へ幾年目《いくねんめ》かで行《ゆ》く序《ついで》もあるし、幸《さいは》ひ勘次《かんじ》のことは村落《むら》に居《ゐ》る内《うち》に知《し》つて居《ゐ》たから相談《さうだん》をして來《き》てやらうといつた。卯平《うへい》は近頃《ちかごろ》滅切《めつきり》窪《くぼ》んだ茶色《ちやいろ》の眼《め》を蹙《しか》めるやうにしながら微《かす》かな笑《ゑみ》を浮《うか》べた。
 親方《おやかた》が勘次《かんじ》へ噺《はなし》をした時《とき》
「わしや、なあに、家《うち》のもんだから面倒《めんだう》見《み》ねえた云《ゆ》はねえね」勘次《かんじ》は油《あぶら》の乘《の》らぬ態度《たいど》でいつた。
「勘次《かんじ》さん近頃《ちかごろ》工合《ぐあひ》がえゝといふ噺《はなし》だが」親方《おやかた》も義理《ぎり》一|遍《ぺん》のやうにいふと
「工合《ぐあひ》えゝつちこともねえが、此《こ》んでも命懸《いのちが》けで働《はたれ》えてんだから、他人《ひと》のがにや大《え》けえ錢《ぜね》になるやうにも見《め》えべが、俺《お》らにこんで爺樣《ぢさま》が代《でえ》の借金《しや
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