來《でき》るだけ務《つと》めた。出代《でがはり》の季節《きせつ》が來《き》た時《とき》彼《かれ》はまた頻《しき》りに惑《まど》うたが、どうも其處《そこ》を立《た》つて畢《しま》ふのが惜《を》しい心持《こゝろもち》もするし、逡巡《しりごみ》して復《ま》た居据《ゐすわ》りになつた。郷里《きやうり》から來《き》たものに聞《き》いて彼《かれ》は勘次《かんじ》が次第《しだい》に順境《じゆんきやう》に赴《おもむ》きつゝあることを知《し》つた。彼《かれ》は心《こゝろ》が復《ま》た動搖《どうえう》して脆《もろ》く成《な》つた心《こゝろ》が酷《ひど》く哀《あはれ》つぽく情《なさけ》なくなつた。然《しか》し長《なが》い間《あひだ》機嫌《きげん》を損《そこ》ね合《あ》うた勘次《かんじ》の許《もと》へ歸《かへ》るのには彼《かれ》は空手《からて》ではならぬといふことを深《ふか》く念《ねん》とした。彼《かれ》は夫《それ》からといふもの成《な》るべくコツプ酒《ざけ》も節制《せつせい》して懷《ふところ》を暖《あたゝ》めようとした。從來《じうらい》彼《かれ》が遠《とほ》く奉公《ほうこう》に出《で》て居《ゐ》て幾《いく》
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