》たぬ年齡《ねんれい》に達《たつ》して居《ゐ》るので、假令《たとひ》彼《かれ》の境遇《きやうぐう》が安佚《あんいつ》を許《ゆる》さない爲《ため》に恁《か》うして精神的《せいしんてき》に健康《けんかう》が保《たも》たれて居《ゐ》るのだとしても、彼《かれ》の老躯《らうく》は日毎《ひごと》に空腹《くうふく》から來《く》る疲勞《ひらう》を醫《い》する爲《ため》に食料《しよくれう》を攝取《せつしゆ》する僅《わづか》な滿足《まんぞく》が其《そ》の度毎《たびごと》に目先《めさき》の知《し》れてる彼《かれ》を拉《らつ》して其《そ》の行《ゆ》く可《べ》き處《ところ》に導《みちび》いて居《ゐ》るのである。
復《ま》た冬《ふゆ》が來《き》た時《とき》、彼《かれ》は今《いま》までの腰《こし》の痛《いた》みと違《ちが》つた一|種《しゆ》の疾患《しつくわん》を生《しやう》じたやうに感《かん》じた。醫者《いしや》は依然《いぜん》僂痲質斯《レウマチス》なのだといつて、寒《さむ》い夜《よ》に火《ひ》の番《ばん》をして歩《ある》くのは絶對《ぜつたい》に惡《わる》いといふのであつた。それでも彼《かれ》は我慢《がまん》の出
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