の白帆《しらほ》も暖《あたたか》く見《み》えて、大《おほ》きな藏々《くら/″\》の建物《たてもの》が空《むな》しく成《な》る程《ほど》一|切《さい》の傭人《やとひにん》が桃畑《もゝばたけ》に一|日《にち》の愉快《ゆくわい》を竭《つく》すやうになれば病氣《びやうき》もけそりと忘《わす》れるのが例《れい》であつた。
清潔好《きれいずき》な彼《かれ》は命令《めいれい》されるまでもなく、庭《には》にぽつちりでも草《くさ》が見《み》えれば※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》らずには居《ゐ》られない。狹苦《せまくる》しいにしてもきちんとした傭人部屋《やとひにんべや》の周圍《しうゐ》の土《つち》に箒目《はうきめ》を入《い》れて水《みづ》でも打《う》つて見《み》たり、其處《そこ》らで作《つく》る朝顏《あさがほ》の苗《なへ》を貰《もら》つてどんな姿《なり》にも鉢《はち》へ植《うゑ》て見《み》たりして居《ゐ》ると奉公《ほうこう》が辛《つら》くも思《おも》はないのであつた。それも二三|年《ねん》の間《あひだ》で普通《ふつう》の人間《にんげん》ならばもう到底《たうてい》役《やく》にも立《た
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