相手《あひて》は益《ます/\》惡口《あくこう》を逞《たくま》しくした。群衆《ぐんしふ》は一聲《ひとこゑ》の畢《をは》る毎《ごと》に笑《わら》ひどよめいた。
「篦棒《べらぼう》、さうだ軟《やつ》けえ面《つら》で風《かぜ》吹《ふ》く處《とこ》歩《ある》けるもんぢやねえ」爺《ぢい》さんはむきに成《な》つていつた。
「どうした赤《あけ》え手拭《てねげ》被《かぶ》らせらつたんべえ」
「俺《お》らさうだ手拭《てねげ》なんざあ被《かぶ》つたこたねえよ」
「そんでも疱瘡神《はうそうがみ》は赤《あけ》え手拭《てねげ》好《す》きだつちげな」
「そんだつて俺《お》ら被《かぶ》んねえよ」痘痕《あばた》の爺《ぢい》さんはすつかり悄《しを》れて畢《しま》つた。群集《ぐんしふ》は皆《みな》腹《はら》を抱《かゝ》へた。
「どうれ、俺《お》ら歸《けえ》つて牛蒡《ごぼう》でも拵《こせ》えべえ、明日《あした》天秤棒《てんびんぼう》檐《かつ》いで出《で》る支障《さはり》にならあ」剽輕《へうきん》な相手《あひて》は思《おも》ひ出《だ》したやうにいつた。
「どうせ、おめえ等《ら》やうに紺屋《こんや》の弟子《でし》見《み》てえな手
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