《からか》つていつたものがある。
「何《な》んちいか寄《よ》せて見《み》せえ」先刻《さつき》の爺《ぢい》さんはいつた。彼《かれ》の顏《かほ》には痘痕《あばた》を深《ふか》く印《いん》して居《ゐ》る。
「どうした寄《よ》せて見《み》んのか、そんだら俺《お》れかんぜん捻《より》拵《こせ》えてやつかれえ」爺《ぢい》さんが更《さら》にいつた時《とき》返辭《へんじ》がなかつた。
「えゝ、情《なさけ》ねえ奴等《やつら》だな」爺《ぢい》さんは捻《よ》り掛《かけ》た紙《かみ》を棄《す》てた。店先《みせさき》の駄菓子《だぐわし》を入《い》れた店臺《みせだい》をがた/\と動《うご》かす者《もの》があつた。
「菓子《くわし》なんぞまた盜《と》つちや畢《を》へねえぞ、うむ、そつちの方《はう》の酒樽《さかだる》ん處《とこ》にも立《た》つてゝ飮《の》み口《ぐち》でも引《ひ》つこ拔《ぬ》かねえで貰《もら》あべえぞ、みんな」と痘痕《あばた》の爺《ぢい》さんは獨《ひと》り乘地《のりぢ》に成《な》つていふのであつた。
「さうぢやねえんだよ、店臺《みせでえ》自分《じぶん》で歩《ある》き出《だ》し始《はじ》まつたから俺《お》
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