》は手《て》を止《や》めた。
「俺《お》れがよ心《こゝろ》はこうなれど、怒《おこ》るまえぞえ見棄《みす》てまえ、互《たがひ》に顏《かほ》も合《あは》せたら、言辭《ことば》も掛《か》けてくだされよう……」巫女《くちよせ》は時々《とき/″\》調子《てうし》を張《は》り上《あ》げていつた。
「さうださうだ、そんでなくつちやおとつゝあ泣《な》くぞ」群集《ぐんしふ》の後《うしろ》から呶鳴《どな》つた。群集《ぐんしふ》は少時《しばし》復《ま》たどよめいたが一|句《く》でも巫女《くちよせ》のいふことを聞《き》き外《はづ》すまいとして靜《しづ》まつた。巫女《くちよせ》の婆《ばあ》さんの姿勢《しせい》が箱《はこ》を離《はな》れて以前《いぜん》に復《ふく》した時《とき》抑壓《よくあつ》されたやうに成《な》つて居《ゐ》た凡《すべ》てが俄《にはか》にがや/\と騷《さわ》ぎ出《だ》した。彼等《かれら》は絶《た》えず勘次《かんじ》とおつぎとに對《たい》して冷笑《れいせう》を浴《あび》せ拂《か》けてゐるのであつたが、然《しか》しそれを知《し》らぬ二人《ふたり》は只《たゞ》凝然《ぢつ》として居《ゐ》た。凡《すべ》てが
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