《なか》で何《なに》か念《ねん》じて居《ゐ》たが風呂敷包《ふろしきづゝみ》の儘《まゝ》箱《はこ》へ兩肘《りやうひぢ》を突《つ》いて段々《だん/\》に諸國《しよこく》の神々《かみ/″\》の名《な》を喚《よ》んで、一|座《ざ》に聚《あつ》めるといふ意味《いみ》を熟練《じゆくれん》したいひ方《かた》で調子《てうし》をとつていつた。がや/\と騷《さわ》いで居《ゐ》た家《いへ》の内外《ないぐわい》は共《とも》にひつそりと成《な》つた。
「行々子《よしきり》土用《どよう》へ入《へ》えつた見《み》てえに、ぴつたりしつちやつたな」と呶鳴《どな》つたものがあつた。漸《やうや》く靜《しづ》まつた群集《ぐんしふ》は少時《しばし》どよめいた。然《しか》し直《すぐ》に復《ま》た靜《しづ》まつた。
「白紙《しらがみ》手頼《たよ》り水《みづ》手頼《たよ》り、紙捻《こより》手頼《たよ》りにい……」と巫女《くちよせ》の婆《ばあ》さんの聲《こゑ》は前齒《まへば》が少《すこ》し缺《か》けて居《ゐ》る爲《ため》に句切《くきり》が稍《やゝ》不明《ふめい》であるがそれでも澁滯《じふたい》することなくずん/\と句《く》を逐《お》う
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