》まつた手拭《てぬぐひ》で首筋《くびすぢ》から身體《からだ》一|杯《ぱい》に拭《ぬぐ》つた。それから
「おゝ痒《かい》い」とぴしやり手《て》で蚊《か》を叩《たゝ》いた。彼《かれ》の唄《うた》に連《つれ》て各自《めいめい》が更《さら》に唄《うた》つた。皆《みな》箸《はし》で茶碗《ちやわん》を叩《たゝ》いて拍子《ひやうし》を合《あは》せた。さういふ騷《さわ》ぎに成《な》つてから酒《さけ》は減《へ》らなかつた。勘次《かんじ》は獨《ひと》りで唄《うた》ふこともなく絶《た》えず何物《なにもの》かを探《さが》すやうな目《め》で土間《どま》のあたりをきよろ/\と見《み》て居《ゐ》たが
「おつう」と唐突《だしぬけ》に喚《よ》んだ。彼《かれ》は勢《いきほ》ひよく喚《よ》んで見《み》て自分《じぶん》で拍子拔《ひやうしぬけ》した樣《やう》にして居《ゐ》たが
「此《こ》れさ馬鈴薯《じやがいも》でもくんねえか」と椀《わん》をづうつと出《だ》した。
「どうしたもんだおとつゝあは、お平《ひら》の盛換《もりけ》えするもな有《あ》んめえな、馬鈴薯《じやがいも》は前《めえ》に幾《いく》らでも有《あ》んのに」おつぎは更《さ
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