急《きふ》だつちと倒旋毛《さかさつむじ》おつ立《た》てる樣《やう》だから畜生《ちきしやう》なんぼにも足《あし》が出《で》ねえな、其奴《そいつ》へ合《あは》せて唄《うた》あんだからゆつくり行《や》んなくつちやなんねえな」兼《かね》博勞《ばくらう》は帶《おび》を解《と》いて裸《はだか》に成《な》つて衣物《きもの》を後《うしろ》へ投《なげ》た。帶《おび》は一重《ひとへ》で左《ひだり》の腰骨《こしぼね》の處《ところ》でだらりと結《むす》んであつた。兩方《りやうはう》の端《はし》が赤《あか》い切《きれ》で縁《ふち》をとつてある。粗《あら》い棒縞《ぼうじま》の染拔《そめぬき》でそれは馬《うま》の飾《かざ》りの鉢卷《はちまき》に用《もち》ひる布片《きれ》であつた。
「此處《ここ》らの馬《うま》だつて見《み》ろえ、博勞節《ばくらうぶし》門《かど》ツ先《つあき》でやつたつ位《くれえ》厩《まや》ん中《なか》で畜生《ちきしやう》身體《からだ》ゆさぶつて大騷《おほさわ》ぎだな」彼《かれ》は獨《ひと》りで酒席《しゆせき》を賑《にぎは》した。彼《かれ》はさうして土《つち》のやうな汗《あせ》と埃《ほこり》とで染《そ
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