まあ」といつて開《あ》けて見《み》ると一|寸《すん》ばかりの蟷螂《かまきり》が斧《をの》を擡《もた》げてちよろちよろと歩《ある》き出《だ》した。
「へゝえ、此《こ》ん畜生奴《ちきしよめ》こんでも怒《おこ》つてらあ」兼《かね》博勞《ばくらう》はちよいと蟷螂《かまきり》をつゝいて見《み》て獨《ひと》り興《きよう》がつて笑《わら》つた。
「どうしたもんだんべ大《え》けえ姿《なり》して」と女房《にようばう》は皆《みな》笑《わら》つた。
「あれ俺《お》ら知《し》つてら」おつぎの傍《そば》に居《ゐ》た與吉《よきち》は兼《かね》博勞《ばくらう》の側《そば》へ行《い》つて
「鴉《からす》のきんたまから出《で》んだぞこら」といつた。
「汝《わ》ツ等《ら》知《し》りもしねえで」勘次《かんじ》は與吉《よきち》を甘《あま》やかす樣《やう》にしていつた。
「そんだつて俺《お》ら見《み》た、笹《さゝ》つ葉《ぱ》の枝《えだ》にくつゝいてた處《ところ》から出《で》たんだ」與吉《よきち》は蟷螂《かまきり》を弄《いぢ》りながらいつた。
「勘次《かんじ》さん駄目《だめ》だよ、學校《がくこ》へ遣《や》つちや半年《はんとし》た
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