》めて手桶《てをけ》の柄《え》を攫《つか》んで其《そ》の儘《まゝ》身《み》を延《のば》すと手桶《てをけ》の底《そこ》が三|寸《ずん》ばかり地《ち》を離《はな》れた。
「えゝ、此《こ》れ出《だ》すべつちのに」兼《かね》博勞《ばくらう》は後《あと》から投《な》げた。それは梢《こずゑ》から風呂《ふろ》の中《なか》へ落《お》ちた蔕《へた》のない青《あを》い※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》であつた。※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》は手桶《てをけ》の水《みづ》へぽたりと落《お》ちて、水《みづ》のとばちりが少《すこ》しおつぎの足《あし》へ掛《かゝ》つた。
「憎《にく》らしいことまあ、惡戯《いたづら》ばかし仕《し》て」おつぎは嫣然《にこり》として後《うしろ》を見《み》た。
「後《うしろ》見《み》せえすりやそんでえゝんだ」と風呂《ふろ》の側《そば》に居《ゐ》た一人《ひとり》がいつた。
「俺《お》ら其《そ》の雀班《そばつかす》見《み》せえすりや氣《き》が濟《す》んでんだよ」兼《かね》博勞《ばくらう》は後《あと》に跟《つ》いていつた。
「何程《なんぼ》すれつからしなん
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