《ふ》いた。焔《ほのほ》の赤《あか》い舌《した》がべろ/\と長《なが》く立《た》つた。
再《ふたゝ》び蓋《ふた》をとつた時《とき》には掃除《さうぢ》の足《た》らぬ風呂桶《ふろをけ》のなかには前夜《ぜんや》の垢《あか》が一|杯《ぱい》に浮《う》いて居《ゐ》た。其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》ことには關《かま》はずに田植《たうゑ》の同勢《どうぜい》はずん/\と這入《はひ》つた。彼等《かれら》は殆《ほと》んど只《たゞ》手拭《てぬぐひ》でぼちや/\と身體《からだ》をこすつて出《で》た。足《あし》の爪先《つまさき》に詰《つ》まつた泥《どろ》を落《おと》すことさへ仕《し》なかつた。
「燻《けぶ》つてえのそつちへおん出《だ》さなくつちや仕《し》やうねえや」風呂《ふろ》から出《で》た儘《まゝ》拭《ぬぐ》ひもせぬ足《あし》に下駄《げた》を穿《は》いて裸《はだか》の臀《しり》を他人《たにん》に向《む》けて立《た》つた一|人《にん》が後《うしろ》を顧《かへり》みていつた。
「なあに管《かま》あねえ」後《あと》から目《め》を蹙《しか》めながら一人《ひ
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