ひき》穿《は》いた儘《まゝ》泥《どろ》の足《あし》をずつと堀《ほり》の水《みづ》に立《た》てゝ、股引《もゝひき》の紺地《こんぢ》がはつきりと成《な》るまで兩手《りやうて》でごし/\と扱《しご》いた。溶《と》けた泥《どろ》が煙《けぶり》の如《ごと》く水《みづ》を濁《にご》らしてずん/\と流《なが》される。さうしてから其《そ》の股引《もゝひき》を脱《ぬ》いでざぶ/\と洗《あら》ふ者《もの》も有《あ》つた。彼等《かれら》が歸《かへ》つて家《いへ》の内《うち》は急《きふ》にがや/\と賑《にぎや》かに成《な》つた。裏戸口《うらとぐち》の※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の木《き》の下《した》に据《す》ゑられた風呂《ふろ》には牛《うし》が舌《した》を出《だ》して鼻《はな》を舐《な》めづつて居《ゐ》る樣《やう》な焔《ほのほ》が煙《けぶり》と共《とも》にべろ/\と立《た》つて燻《いぶ》りつゝ燃《も》えて居《ゐ》る。傭《やと》はれて來《き》た女房等《にようばうら》の一人《ひとり》が蓋《ふた》をとつてがら/\と掻《か》き廻《まは》して、それから復《ま》た火吹竹《ひふきだけ》でふう/\と吹
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