の畦畔《くろ》には處々《しよ/\》に萱草《くわんさう》が開《ひら》いて、田《た》の草《くさ》を掻《か》くとては村落《むら》の少女《むすめ》が赤《あか》い帶《おび》を暑《あつ》い日《ひ》に燃《も》やさない日《ひ》でも、萎《しぼ》んでは開《ひら》いて朱杯《しゆはい》の如《ごと》く點々《てん/\》と耕地《かうち》を彩《いろど》るのである。百姓《ひやくしやう》は忙《いそが》しい田植《たうゑ》が畢《をは》れば何處《どこ》の家《いへ》でも秋《あき》の收穫《しうくわく》を待《ま》つ準備《じゆんび》が全《まつた》く施《ほどこ》されたので、各自《かくじ》の勞《らう》を劬《ねぎら》ふ爲《ため》に相當《さうたう》な饗應《もてなし》が行《おこな》はれるのである。其《それ》が早苗振《さなぶり》である。
 勘次《かんじ》とおつぎは南《みなみ》の早苗振《さなぶり》の日《ひ》に傭《やと》はれて行《い》つて居《ゐ》た。勘次《かんじ》の家《いへ》から南《みなみ》へ行《ゆ》く小徑《こみち》を挾《はさ》んだ桑畑《くはばたけ》は刈取《かりと》つてから草《くさ》の生《は》えた位《くらゐ》に枝《えだ》が立《た》ち始《はじ》めて居《
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