おとつゝあ勘辨《かんべん》してくろよう」と歔欷《すゝりな》くやうな假聲《こわいろ》が更《さら》に聞《きこ》えた。惘然《ばうぜん》として見《み》て居《ゐ》た凡《すべ》てがどよめいた。
「おとつゝあ明《あか》り點《つ》けべえかあ」と群集《ぐんしふ》の後《あと》から呶鳴《どな》ると共《とも》に凡《すべ》てが復《ま》たどつと笑《わら》つた。
 おつぎはむつくり起《お》きてさつさと行《ゆ》き掛《か》けた。
「汝《われ》何處《どこ》さ行《え》くんだ。こうれ」勘次《かんじ》は引《ひ》つ捉《つか》まうとしたがおつぎは身《み》を捩《ねぢ》つてさつさと行《ゆ》く。勘次《かんじ》は慌《あわ》てゝ草履《ざうり》の爪先《つまさき》が蹶《つまづ》きつゝおつぎの後《あと》に跟《つ》いた。
「おつう」彼《かれ》は心《こゝろ》もとなげに喚《よ》んだ。與吉《よきち》はどうした理由《わけ》とも分《わか》らないので先刻《さつき》から只《たゞ》泣《な》いて居《ゐ》た。
 太鼓《たいこ》が止《や》んで踊《をどり》は全《まつた》く亂《みだ》れて畢《しま》つた。それでなくても彼等《かれら》は一しきり踊《をど》れば田圃《たんぼ》を越《
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