]《から》げて草鞋《わらぢ》を穿《はい》た幾人《いくにん》が列《れつ》から離《はな》れたと思《おも》つたら、其處《そこ》らに立《た》つて見物《けんぶつ》して居《ゐ》る女等《をんなら》に向《むか》つて海嘯《つなみ》の如《ごと》く襲《おそ》うた。女同士《をんなどうし》はわあと只《たゞ》笑《わら》ひ聲《ごゑ》を發《はつ》して各自《てんで》に對手《あひて》を突《つ》いたり叩《たゝ》いたりして亂《みだ》れつゝ騷《さわ》いだ。突然《とつぜん》一人《ひとり》がおつぎの髮《かみ》へひよつと手《て》を掛《か》けた。
「此《こ》らまあ、どうしたもんだ」おつぎが驚《おどろ》いて叫《さけ》んだ時《とき》、對手《あひて》はおつぎの櫛《くし》を奪《うば》つて混雜《こんざつ》した群集《ぐんしふ》の中《なか》へ身《み》を沒《ぼつ》した。おつぎは髮《かみ》へ惡戯《いたづら》されたことを嫌《きら》つて思《おも》はず手《て》を當《あて》て見《み》て櫛《くし》の無《な》くなつたのを知《し》つた。
「他人《ひと》の櫛《くし》まあ」おつぎは其《そ》れを追《お》はうとして覺《おぼ》えず足《あし》を蹂《ふ》み出《だ》すと、一|歩《ぽ
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