《た》れる汗《あせ》を水《みづ》で拭《ぬぐ》つた。手拭《てぬぐひ》を浸《ひた》す度《たび》に小《ちひ》さな手水盥《てうずだらひ》の水《みづ》に月《つき》が全《まつた》く其《そ》の影《かげ》を失《うしな》つて暫《しばら》くすると手水盥《てうずだらひ》の周圍《しうゐ》から聚《あつま》る樣《やう》に段々《だん/\》と月《つき》の形《かたち》が纏《まと》まつて見《み》えて來《く》る。踊子《をどりこ》を誘《さそ》ふ太鼓《たいこ》の音《おと》が自分《じぶん》の村落《むら》のは直《すぐ》垣根《かきね》の外《そと》の樣《やう》に、遠《とほ》い村落《むら》のは繁茂《はんも》して居《ゐ》る林《はやし》の彼方《あなた》に空《そら》に響《ひゞ》いて聞《きこ》える。それが井戸端《ゐどばた》に立《た》つて居《ゐ》るおつぎの心《こゝろ》を誘導《そゝ》つた。同年輩《どうねんぱい》の子《こ》は皆《みな》踊《をどり》に行《ゆ》くのである。おつぎには幾分《いくぶん》それが羨《うらや》ましくぼうつとして太鼓《たいこ》に聞《き》き惚《ほ》れて居《ゐ》た。軟《やはら》かな月《つき》の光《ひかり》におつぎの肌膚《はだ》は白《しろ》
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