》つて待《ま》つた。晩餐《ばんさん》が畢《をは》ると踊子《をどりこ》を誘《さそ》ふ太鼓《たいこ》の音《おと》が漸《やうや》く沈《しづ》み掛《か》けた夜氣《やき》を騷《さわ》がして聞《きこ》え始《はじ》めた。檐《のき》に立《た》つた蚊柱《かばしら》が崩《くづ》れて軈《やが》て座敷《ざしき》を襲《おそ》うた。勘次《かんじ》は麥藁《むぎわら》を一捉《ひとつか》み軒端《のきば》へ投《な》げて、刈《か》つた青草《あをぐさ》をそれへ打《ぶ》つ掛《か》けて、燐寸《マツチ》の火《ひ》を點《つ》けてさうして抑《おさ》へつけた。ぷす/\と燻《いぶ》る煙《けぶり》が蚊《か》を遠《とほ》く散亂《さんらん》せしめる。ぽつと焔《ほのほ》が立《た》つて燃《も》えあがれば水《みづ》を打《う》つた。彼等《かれら》は目鼻《めはな》にしみる青《あを》い煙《けぶり》の中《なか》に裸體《はだか》の儘《まゝ》凝然《ぢつ》として居《ゐ》る。煙《けぶり》が餘所《よそ》へ逸《そ》れゝば箕《み》で煽《あふ》つて家《いへ》の内《うち》へ向《むか》はせた。おつぎは勝手《かつて》の始末《しまつ》をしてそれから井戸端《ゐどばた》で、だら/\と垂
前へ
次へ
全956ページ中407ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング