んしや》した。蒸暑《むしあつ》い中《うち》にも凡《すべ》てが水《みづ》の樣《やう》な月《つき》の光《ひかり》を浴《あ》びて凉《すゞ》しい微風《びふう》が土《つち》に觸《ふ》れて渡《わた》つた。おつぎは臼《うす》から餅《もち》を拗切《ねぢき》つて茗荷《めうが》の葉《は》に乘《の》せて一《ひと》つ/\膳《ぜん》へ並《なら》べた。少《すこ》し丸《まる》みを缺《か》いた十三|日《にち》の月《つき》が白《しろ》く其《そ》の一つ/\の茗荷《めうが》の葉《は》の上《うへ》に光《ひか》つた。冷水《れいすゐ》を打《う》つた樣《やう》な※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の葉《は》がゆら/\と動《うご》いて後《うしろ》の林《はやし》の竹《たけ》の梢《こずゑ》もさら/\と鳴《な》つた。
 それでも忙《いそが》しいおつぎは汗《あせ》を流《なが》しながら先《ま》づ茗荷《めうが》の餅《もち》を佛壇《ぶつだん》に供《そな》へた。それから別《べつ》に拗切《ねぢき》つた餅《もち》が豆粉《きなこ》と共《とも》に手《て》ランプの下《もと》に置《お》かれた。與吉《よきち》は直《すぐ》に座敷《ざしき》へ坐《すわ
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