]を蒸籠《せいろう》から杓子《しやくし》で臼《うす》へ扱《こ》き落《おと》しながら側《そば》に立《た》つて居《ゐ》る與吉《よきち》へ少《すこ》し遣《や》つた。程《ほど》よく蒸《む》した其《その》ふかし[#「ふかし」に傍点]を與吉《よきち》は甘相《うまさう》にたべた。おつぎも指《ゆび》に附《つ》いたのを前齒《まへば》で噛《か》むやうにして口《くち》へ入《い》れた。蒸氣《ゆげ》の立《た》つ臼《うす》を勘次《かんじ》は暫《しばら》く杵《きね》の先《さき》で捏《こ》ねた。杵《きね》の先《さき》が粘《ねば》つて離《はな》れなく成《な》る。おつぎは米研桶《こめとぎをけ》へ水《みづ》を汲《く》んでそれへ浮《うか》べた杓子《しやくし》で杵《きね》の先《さき》を扱落《こきおと》して臼《うす》の中《なか》を丸《まる》い形《かたち》に直《なほ》す。さうすると勘次《かんじ》は力《ちから》を極《きは》めて臼《うす》の中央《ちうあう》を打《う》つ。それが幾度《いくど》も反覆《はんぷく》された。庭《には》の木立《こだち》の陰翳《かげ》が濃《こ》く成《な》つて月《つき》の光《ひかり》はきら/\と臼《うす》から反射《は
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