な》つて居《ゐ》る程《ほど》物《もの》に臆《おく》する習慣《しふくわん》がある。然《しか》し恁《か》うして儕輩《さいはい》のみが聚《あつ》まれば殆《ほと》んど別人《べつじん》である。饂飩《うどん》が竭《つ》きて茶碗《ちやわん》が亂雜《らんざつ》に投《な》げ出《だ》された時《とき》夜《よる》の遲《おそ》いことに無頓着《むとんぢやく》な彼等《かれら》はそれから暫《しばら》く止《と》めどもなく雜談《ざつだん》に耽《ふけ》つた。彼等《かれら》は遂《つひ》に自分《じぶん》の村落《むら》に野合《やがふ》の夫婦《ふうふ》が幾組《いくくみ》あるかといふことをさへ數《かぞ》へ出《だ》した。そつちからもこつらからも其《そ》れが數《かぞ》へられた。左手《さしゆ》の指《ゆび》が二|度《ど》曲《ま》げて二|度《ど》起《おこ》されても盡《つく》せなかつた。勿論《もちろん》畢《しまひ》には配偶《はいぐう》の缺《か》けたものまで僂指《るし》された。其《そ》れ等《ら》の夫婦《ふうふ》の間《あひだ》に生《うま》れた者《もの》も幾人《いくにん》か彼等《かれら》の間《あひだ》に介在《かいざい》して居《ゐ》た。有繋《さすが》に
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