て居《ゐ》る。季節《きせつ》の變化《へんくわ》を反覆《くりかへ》しつゝ月日《つきひ》は容赦《ようしや》なく推移《すゐい》した。
一二
冬《ふゆ》は低《ひく》く地《ち》を偃《は》うて沈《しづ》んだ。舊暦《きうれき》の暮《くれ》が近《ちか》く成《な》つて婚姻《こんいん》の多《おほ》く行《おこな》はれる季節《きせつ》が來《き》た。町《まち》の建具師《たてぐし》の店先《みせさき》に据《す》ゑられた簟笥《たんす》や長持《ながもち》から疎末《そまつ》な金具《かなぐ》が光《ひか》るのを見《み》るやうに成《な》つた。おつぎが通《かよ》うた針《はり》の師匠《ししやう》の家《うち》でも嫁《よめ》が極《きま》つた。其《そ》の當日《たうじつ》に成《な》ると針子《はりこ》は孰《いづ》れも藏《しま》つて置《お》いた半纏《はんてん》へ赤《あか》い襷《たすき》を掛《か》けて、其處《そこ》らの掃除《さうぢ》やら、芋《いも》や大根《だいこん》を洗《あら》ふことやら朝《あさ》から大騷《おほさわ》ぎをして笑《わら》ひながら手傳《てつだひ》をした。おつぎも行《い》つて皆《みんな》と一|緒《しよ》に働《は
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