つて見《み》ろ」彼《かれ》は忌々敷相《いま/\しさう》に且《か》つ刄《やいば》を以《もつ》て心部《むね》を突《つ》き通《とほ》される苦《くる》しさを忍《しの》んだかと思《おも》ふやうな容子《ようす》でわく/\する胸《むね》から聲《こゑ》を絞《しぼ》つていつた。彼《かれ》は暫《しばら》く間《あひだ》を措《お》いては又《また》、噛《か》んで/\噛締《かみし》めても噛《か》み切《き》れぬ或《ある》物《もの》に對《たい》するやうな焦燥《じれ》つたさと、期待《きたい》して居《ゐ》た或《ある》物《もの》を俄《にはか》に奪《うば》ひ去《さ》られた樣《やう》な絶望《ぜつばう》とが混淆《こんかう》し紛糾《ふんきう》した自暴自棄《やけ》の態度《たいど》を以《もつ》ておつぎを責《せ》めた。彼《かれ》の擧動《きよどう》は殆《ほとん》ど發作的《ほつさてき》であつた。おつぎの聲《こゑ》を殺《ころ》して泣《な》く聲《こゑ》は隙間《すきま》だらけな戸《と》の外《そと》に絶《た》え/″\に漏《も》れた。
 從來《これまで》とてもおつぎは假令《たとひ》異性《いせい》を慕《した》ふ性情《せいじやう》が漸《やうや》く發達《は
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