合《ばあひ》を巧《たくみ》に繕《つく》らふといふ料簡《れうけん》さへ苟且《かりそめ》にも持《も》つて居《ゐ》ない程《ほど》一|面《めん》に於《おい》ては濁《にごり》のない可憐《かれん》な少女《せうぢよ》であつた。おつぎは萎《しを》れて只《たゞ》ぽつさりと立《た》つて居《ゐ》る。勘次《かんじ》の目《め》は薄闇《うすくら》い手《て》ランプに光《ひか》つた。
「おつう」と一|聲《せい》呶鳴《どな》つて情《じやう》の激《げき》した勘次《かんじ》は咄嗟《とつさ》に次《つぎ》の語《ことば》が出《だ》せなかつた。
「何《なに》してけつかつたんだ」勘次《かんじ》はおつぎを睨《にら》みつけた。おつぎは俯向《うつむ》いて默《だま》つて居《ゐ》る。
「さあ云《ゆ》つて見《み》ろ、嘘《ちく》云《ゆ》つたつて知《し》つてつゝお」勘次《かんじ》は猶《なほ》も激《はげ》しく訊《たず》ねた。
「汝《わ》りや何時《いつ》でも何《なん》ちつた、おとつゝあげは決《けつ》して心配《しんぺえ》掛《か》けねえからつて云《ゆ》つたんぢやねえか、そんでも汝《わ》りや心配《しんぺえ》掛《か》けねえのか、掛《か》けねえつちんだら云《ゆ》
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