臀《しり》がたはら胡頽子《ぐみ》の樣《やう》に血《ち》を吸《す》うて膨《ふく》れても、彼等《かれら》はちくりと刺戟《しげき》を與《あた》へられた時《とき》に慌《あわ》てゝはたと叩《たゝ》くのみで蚊《か》が逃《に》げようとも知《し》らぬ顏《かほ》である。暑《あつ》い日《ひ》が草《くさ》いきれで汗《あせ》びつしりに成《な》つて居《ゐ》る彼等《かれら》の身體《からだ》に時刻《じこく》が過《す》ぎたと枝《えだ》の間《あひだ》から強《つよ》い光《ひかり》を投掛《なげか》けて促《うなが》す迄《まで》は、稀《まれ》には痺《しび》れた足《あし》を投出《なげだ》して聞《き》きも聞《き》かせもしなくて善《い》い噺《はなし》を反覆《はんぷく》してのみ居《ゐ》るのである。彼等《かれら》は恁《か》うして時間《じかん》を空《むな》しく費《つひや》しては遠《とほ》く近《ちか》く蜩《ひぐらし》の聲《こゑ》が一|齊《せい》に忙《いそが》しく各自《かくじ》の耳《みゝ》を騷《さわ》がして、大《おほ》きな紗《しや》で掩《おほ》うたかと思《おも》ふ樣《やう》に薄《うす》い陰翳《かげ》が世間《せけん》を包《つゝ》むと彼等《かれら
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