かれら》が唯《ゆゐ》一の味方《みかた》で月夜《つきよ》でさへ深《ふか》い陰翳《かげ》が安全《あんぜん》に彼等《かれら》を包《つゝ》む。空《そら》に冴《さ》えた月《つき》は放棄《はうき》してある手水盥《てうづだらひ》を覗《のぞ》いては冷《ひやゝ》かに笑《わら》うて居《ゐ》る。彼等《かれら》が餘《あま》りに暇《ひま》どつて居《ゐ》れば月《つき》はこつそりと首《くび》を傾《かたむ》けて木《こ》の葉《は》の間《あひだ》から覗《のぞ》いて見《み》る。其《そ》れでも猶《なほ》彼等《かれら》が屈託《くつたく》して居《を》れば、彼等《かれら》を庇護《ひご》して居《ゐ》る木《き》が※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》の木《き》であれば梢《こずゑ》からまだ青《あを》い實《み》を投《な》げて、其《そ》の瞬間《しゆんかん》驚《おどろ》き易《やす》い彼等《かれら》が欺《あざむ》かれて、彼等《かれら》の伴侶《なかま》の惡戯《あくぎ》であるかを疑《うたが》うては慌《あわ》てゝ周圍《しうゐ》を見《み》る時《とき》、繁茂《はんも》した大《おほ》きな葉《は》が凉《すゞ》しい風《かぜ》にさや/\と微笑《びせ
前へ
次へ
全956ページ中360ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング