》つて、薄《うす》い宵《よひ》が地《ち》を低《ひく》く掩《おほ》うて夜《よ》が到《いた》つた時《とき》女《をんな》は井戸端《ゐどばた》で愉快《ゆくわい》に唄《うた》ひながら一|種《しゆ》の調子《てうし》を持《も》つた手《て》の動《うご》かし樣《やう》をして米《こめ》を研《と》ぐ。女《をんな》は研桶《とぎをけ》と唄《うた》との二つの聲《こゑ》が錯綜《さくそう》しつゝある間《あひだ》にも木陰《こかげ》に佇《たゝず》む男《をとこ》のけはひを悟《さと》る程《ほど》耳《みゝ》の神經《しんけい》が興奮《こうふん》して居《ゐ》る。其《そ》れが凉《すゞ》しい夏《なつ》の夜《よ》で女《をんな》が男《をとこ》を待《ま》つ時《とき》には毎日《まいにち》汗《あせ》に汚《よご》れ易《やす》いさうして其《そ》の飾《かざ》りでなければ成《な》らぬ手拭《てぬぐひ》の洗濯《せんたく》に暇《ひま》どるのである。庭《には》の木陰《こかげ》に身《み》を避《さ》けてしんみりと互《たがひ》の胸《むね》を反覆《くりかへ》す時《とき》繁茂《はんも》した※[#「柿」の正字、第3水準1−85−57]《かき》や栗《くり》の木《き》は彼等《
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