ぽつちりと臀《しり》に注《そゝ》げば蛸《たこ》は必《かなら》ず慌《あわ》てゝ漁師《れふし》の前《まへ》に跳《をど》り出《だ》す。熱《あつ》い一|滴《てき》によつて容易《ようい》に蛸《たこ》は騙《だま》されるのである。假令《たとひ》監視《かんし》の目《め》から※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1−92−56]《のが》れて女《をんな》に接近《せつきん》したとしても、打《う》ち込《こ》んだ女《をんな》の情《じやう》が強《こは》ければ蛸壺《たこつぼ》の蛸《たこ》が騙《だま》される樣《やう》にころりと落《おと》す工夫《くふう》のつくまでは男《をとこ》は忍耐《にんたい》と寧《むし》ろ危險《きけん》とを併《あわ》せて凌《しの》がねば成《な》らぬ。さうして纔《わづか》に相《あひ》接《せつ》した兩性《りやうせい》が心《こゝろ》から相《あひ》曳《ひ》く時《とき》相《あひ》互《たがひ》に他《た》の凡《すべ》てに對《たい》して恐怖《きようふ》の念《ねん》を懷《いだ》きはじめるのである。
空《そら》が夕日《ゆふひ》の消《き》え行《ゆ》く光《ひかり》を西《にし》の底《そこ》深《ふか》く鎖《とざ》して畢《しま
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