け》見《み》てたつけが此《これ》は誰《た》れが書《か》いたつて聞《き》くから、わし等《ら》方《はう》の旦那《だんな》でがすつて云《ゆ》つたら、さうかそんぢやよし/\歸《けえ》れなんていふもんだからほつと息《いき》つきあんした、瘧《おこり》落《お》ちたやうでさあはあ、そんだからわし等《ら》なんぼにもあゝい處《ところ》へは出《で》んな厭《や》で」
 彼《かれ》は少時《しばし》間《あひだ》を措《お》いて
「そんだが、旦那《だんな》はたいしたもんでがすね、旦那《だんな》書《か》いたんだつて云《ゆ》つたらなあ」と彼《かれ》は更《さら》に跟《つ》いて行《い》つた近所《きんじよ》の者《もの》を顧《かへり》みていつた。
 事件《じけん》は如此《かくのごとく》にして一|見《けん》妙《めう》な然《しか》も最《もつと》も普通《ふつう》な方法《はうはふ》を踏《ふ》んで終局《しうきよく》が告《つ》げられた。被害者《ひがいしや》の損害《そんがい》に對《たい》する賠償《ばいしやう》は僅《わづか》であるとはいひながら一|時《じ》主人《しゆじん》の手《て》から出《で》てそれが被害者《ひがいしや》に渡《わた》された。

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