うにちう/\と苦《くる》しげな聲《こゑ》を立《たて》て鳴《な》いた。おつぎは手探《てさぐ》りに壁際《かべぎは》の草刈鎌《くさかりがま》を執《と》つた。又《また》そつと戸《と》を閉《た》てゝ出《で》る時《とき》頸筋《くびすぢ》の髮《かみ》の毛《け》をこそつぱい手《て》で一攫《ひとつか》みにされるやうに感《かん》じた。おつぎは外《そと》の壁際《かべぎは》の草刈籠《くさかりかご》を脊負《せお》つた。どうした機會《はずみ》であつたか此《これ》も壁際《かべぎは》に立《た》て掛《か》けた竹箒《たけばうき》が倒《たふ》れて柄《え》がかちつと草刈籠《くさかりかご》を打《う》つた。おつぎはひよつと顧《かへり》みた。
夜《よる》は闇《やみ》である。凄《すご》く冴《さ》えた空《そら》へぞつくりと立《た》つた隣《となり》の森《もり》の梢《こずゑ》にくつゝいて天《あま》の川《がは》が低《ひく》く西《にし》へ傾《かたぶ》きつゝ流《なが》れて居《ゐ》る。
暫《しばら》くしておつぎは自分等《じぶんら》の手《て》で作《つく》つた蜀黍《もろこし》の側《そば》に立《た》つた。痩《や》せた蜀黍《もろこし》は眠《ねむ》つた
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