して熟睡《じゆくすゐ》した身體《からだ》を直立《ちよくりつ》せしめやうと苦心《くしん》する程《ほど》の徒《むだ》な力《ちから》を盡《つく》したのであつた。
傭人《やとひにん》もすつかり眠《ねむ》りに落《お》ちたと思《おも》ふ頃《ころ》内儀《かみ》さんとおつぎとの黒《くろ》い姿《すがた》が竊《ひそか》に裏《うら》の竹藪《たけやぶ》に動《うご》いた。落《お》ちて居《ゐ》る竹《たけ》の枝《えだ》が足《あし》の下《した》にぽち/\と折《を》れて鳴《な》つた。乾《いぬゐ》の方《はう》の垣根《かきね》の側《そば》へ來《き》た時《とき》に内儀《かみ》さんは、垣根《かきね》の土《つち》に附《つ》いた處《ところ》を力任《ちからまか》せにぼり/\と破《やぶ》つた。おつぎも兩手《りやうて》を掛《か》けて破《やぶ》つた。幾年《いくねん》となしに隙間《すきま》を生《しやう》ずれば小笹《をざさ》を繼《つ》ぎ足《た》し/\しつゝあつた竹《たけ》の垣根《かきね》は、土《つち》の處《ところ》がどす/\に朽《く》ちて居《ゐ》るので直《すぐ》に大《おほ》きな穴《あな》が明《あ》いた。おつぎは其處《そこ》から潜《くぐ》つて
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