せた。
「へえ」勘次《かんじ》は只《たゞ》首《くび》を俛《た》れて居《ゐ》る。
「どうだね」内儀《かみ》さんは反覆《くりかへ》した。
「わしがにや、とつても持《も》ち切《き》れあんせん」勘次《かんじ》は萎《しを》れて顫《ふる》へて居《ゐ》る。
「おとつゝあは何《なん》ちんだんべな」おつぎは齒痒相《はがいさう》にいつて一|聲《せい》更《さら》に
「おとつゝあ」と力《ちから》を入《い》れて
「盜《と》らねえつて云《ゆ》へよ、おとつゝあ」
 おつぎは熱心《ねつしん》に勘次《かんじ》を見《み》た。
「そんでも俺《おら》、あすこへ出《で》ちや、とつても白状《はくじやう》しねえ譯《わけ》にや行《ゆ》かねえよ」
「そんな料簡《れうけん》でなく私《わたし》は自分《じぶん》のが伐《き》つたんですつていへば、そんでいゝやうに始末《しまつ》してやるだから」内儀《かみ》さんが力《ちから》を附《つ》けて見《み》ても勘次《かんじ》は只《ただ》首《くび》を俛《た》れて居《ゐ》る。
「さう云《ゆ》へせえすりやえゝつちのになあ、おとつゝあは」おつぎは落膽《がつかり》したやうにいつた。内儀《かみ》さんとおつぎは恁《か》う
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