く》れた。内儀《かみ》さんは傭人《やとひにん》の口《くち》を堅《かた》く警《いまし》めて外《そと》へ洩《も》れないやうと苦心《くしん》をした。其《そ》の日《ひ》も巡査《じゆんさ》は勘次《かんじ》の家《いへ》のあたりを徘徊《はいくわい》したがそれでも其《そ》の東隣《ひがしどなり》の門《もん》を叩《たゝ》いて穿鑿《せんさく》するまでには至《いた》らなかつた。内儀《かみ》さんは什※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《どんな》にしても救《すく》つて遣《や》りたいと思《おも》ひ出《だ》したら其處《そこ》に障害《しやうがい》が起《おこ》れば却《かへつ》てそれを破《やぶ》らうと種々《しゆじゆ》に工夫《くふう》も凝《こら》して見《み》るのであつた。それで被害者《ひがいしや》の方《はう》の噺《はなし》も極《きま》つたのだから此《こ》の上《うへ》は警察《けいさつ》の手加減《てかげん》に俟《ま》つより外《ほか》に道《みち》は無《な》いのであるが、不在《ふざい》であつた主人《しゆじん》は其《そ》の日《ひ》も歸《かへ》らない。勘次《かんじ》は只管《ひたすら》に主人《しゆ
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