かみ》さん處《とこ》さ行《え》くべと思《おも》つて居《ゐ》たら、何《なん》ちこつたか恁《こ》んな騷《さわ》ぎではあ行《い》くも出來《でき》ねえで、わしや昨日《きのふ》歸《けえ》つて來《き》た處《ところ》なのせえ、お内儀《かみ》さん」老母《ばあさん》は幾《いく》らでも勢《いきほ》ひづいて饒舌《しやべ》らうとする。熱《あつ》い茶《ちや》が漸《やうや》く内儀《かみ》さんの前《まへ》に汲《く》まれた。被害者《ひがいしや》は老父《ぢいさん》と座敷《ざしき》の隅《すみ》で先刻《さつき》からこそ/\と噺《はなし》をして居《ゐ》る。さうして更《さら》に老母《ばあさん》を喚《よ》んだ。
「うむ、さうだともよ」といふ老母《ばあさん》の聲《こゑ》がすると皆《みな》坐《ざ》に直《なほ》つて
「それぢや、お内儀《かみ》さん、先刻《さつき》のがなお内儀《かみ》さんえゝやうに行《や》つて見《み》ておくんなせえ」被害者《ひがいしや》はいつた。
「わしや、一剋者《いつこくもの》だからお内儀《かみ》さん惡《わる》く思《おも》はねえでおくんなせえ」老父《ぢいさん》もいつた。
「どうぞねえお内儀《かみ》さん」老母《ばあさん》
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