\に散《ち》らばつて居《ゐ》る百姓等《ひやくしやうら》は悉《ことごと》く其《そ》れを知《し》つた。被害者《ひがいしや》は途次《みちみち》大聲《おほごゑ》を出《だ》して呶鳴《どな》つて行《い》つたからである。なんでも昨夜《さくや》遲《おそ》く野《の》らから歸《かへ》るものが有《あ》つたといふがそれぢや其《そ》れに相違《さうゐ》ないだらうといふことが傳《つた》へられた。勘次《かんじ》も畑《はたけ》へ出《で》て居《ゐ》て騷《さわ》ぎに成《な》りはじめたのを知《し》つた。彼《かれ》は直《すぐ》に飛《と》んで歸《かへ》つて悉《ことごと》く蜀黍《もろこし》の穗《ほ》を外《はづ》して、そつと近《ちか》くの林《はやし》へ隱《かく》して筵《むしろ》を二|枚《まい》ばかり掩《おほ》うた。
「癖《くせ》になつから、みつしら懲《こ》りらかした方《はう》がえゝ、俺方《おらはう》は畑《はたけ》が五月蠅《うるさ》くつて本當《ほんたう》に仕《し》やうねえ」
「見《み》せしめに行《や》つ時《とき》にや、こつぴどく行《や》んなくつちやえかねえよ」
「村落《むら》の内《うち》ようく見《み》せえすりや直《すぐ》に分《わか》ら
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