《むしん》な與吉《よきち》は誘《さそ》ひ出《だ》されるまゝにいつて畢《しま》つた。然《しか》し相互《さうご》に畑《はたけ》を荒《あら》しては、痩《や》せた骨身《ほねみ》を噛《かじ》り合《あ》うて居《ゐ》るやうな彼等《かれら》の間《あひだ》にこんなことが無《な》ければ殊更《ことさら》に勘次《かんじ》ばかりが注目《ちうもく》されるのではなかつたのである。
一〇
秋《あき》も朝《あさ》は冷《ひやゝ》かに成《な》つた。稻《いね》の穗《ほ》は北《きた》が吹《ふ》けば南《みなみ》へ向《む》いたり、南《みなみ》が吹《ふ》けば北《きた》へ向《む》いたりして其《そ》の重相《おもさう》な首《くび》を止《や》まず動《うご》かしてはさら/\と寂《さび》しく笑《わら》ひはじめた。強《つよ》い秋《あき》の雨《あめ》が一|夜《や》ざあ/\と降《ふ》つた。次《つぎ》の日《ひ》には空《そら》は些《いさゝか》の微粒物《びりふぶつ》も止《とゞ》めないといつたやうに凄《すご》い程《ほど》晴《は》れて、山《やま》も滅切《めつき》り近《ちか》く成《な》つて居《ゐ》た。しつとりと落付《おちつ》いた空氣《くう
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