夜《よる》になるとそつと蔓《つる》を曳《ひ》いて所在《ありか》を探《さが》すのである。甘藷《さつまいも》は土《つち》を掻《か》つ掃《ぱ》いて探《さが》し掘《ぼ》りにするのは心《こゝろ》が忙《せは》し過《す》ぎるのでぐつと引《ひ》き拔《ぬ》く。彼《かれ》は日中《につちう》甘藷畑《さつまいもばたけ》の側《そば》を過《す》ぎては自分《じぶん》の荒《あら》した趾《あと》を見《み》て心《こゝろ》に酷《ひど》いとは思《おも》ふのであるがそれを埋《うめ》て置《お》くには心《こゝろ》が咎《とが》めた。恁《か》ういふ伴侶《なかま》は千菜荒《せんざいあら》しといふ名稱《めいしよう》の下《もと》に喚《よ》ばれた。
 與吉《よきち》は獨《ひとり》で村《むら》を遊《あそ》んで歩《ある》いた。秋《あき》が深《ふ》けて甘藷《さつまいも》が蒸《む》されるやうに成《な》つた。與吉《よきち》は能《よ》くさういふ處《ところ》へ行《い》つては欲《ほ》し相《さう》な顏《かほ》をして默《だま》つて見《み》て居《ゐ》るので何處《どこ》でも熱《あつ》い甘藷《さつまいも》が與《あた》へられるのであつた。或《ある》時《とき》彼《かれ》は
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