《め》をして叱《しか》るやうに抑《おさ》へる。勘次《かんじ》はまだ肌《はだ》の白《しろ》く且《かつ》薄赤味《うすあかみ》を帶《お》びた人形《にんぎやう》の手足《てあし》のやうな甘藷《さつまいも》を飯《めし》へ炊《た》き込《こ》むことがあつた。
「佳味《うめ》えな」とおつぎがいつた時《とき》
「〆粕《しめかす》で作《つく》つからよ」勘次《かんじ》はいつた。
「旦那《だんな》ぢや、〆粕《しめかす》許《ばか》り使《つか》あんだつぺか」おつぎは自分《じぶん》の知《し》らぬ不廉《ふれん》な肥料《ひれう》のことに就《つ》いて聞《き》いた。勘次《かんじ》は氣《き》がついて
「甘藷《さつま》喰《くつ》たなんていふんぢやねえぞ」與吉《よきち》を警《いまし》めた。勘次《かんじ》は彼《かれ》の大豆畑《だいづばたけ》の近《ちか》くに隣《となり》の主人《しゆじん》の甘藷畑《さつまばたけ》とそれから其《そ》の途中《とちう》に南瓜畑《たうなすばたけ》があつたので、他《た》の畑《はたけ》のものよりも自然《しぜん》にそれを盜《と》つた。少《すこ》しづつ盜《と》つた。南瓜《たうなす》は晝間《ひるま》見《み》て置《お》いて
前へ 次へ
全956ページ中285ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング