た。只《たゞ》南瓜《たうなす》だけは其《そ》の特有《もちまへ》の大《おほ》きな葉《は》をずん/\と擴《ひろ》げて蔓《つる》の先《さき》が忽《たちま》ちに厠《かはや》の低《ひく》い廂《ひさし》から垂《た》れた。殊《こと》に栗《くり》の木《き》に絡《から》んだのは白晝《ひるま》の忘《わす》れる程《ほど》長《なが》い間《あひだ》雨戸《あまど》は閉《と》ぢた儘《まゝ》で、假令《たとひ》油蝉《あぶらぜみ》が炒《い》りつけるやうに其處《そこ》らの木《き》毎《ごと》にしがみ附《つ》いて聲《こゑ》を限《かぎ》りに鳴《な》いたにした處《ところ》で、凡《すべ》てが暑《あつ》さに疲《つか》れたやうで寧《むし》ろ極《きは》めて閑寂《かんじやく》な庭《には》を覗《のぞ》いては、葉《は》の陰《かげ》ながら段々《だん/\》に日《に》に燒《や》けつゝ太《ふと》りつゝ臀《しり》の臍《へそ》を剥《む》き出《だ》してどつしりと枝《えだ》から垂《た》れ下《さが》つた。それが僅《わづか》に庭《には》に威勢《ゐせい》をつけて居《ゐ》る。
一|般《ぱん》にさうではあるが殊《こと》に勘次《かんじ》の手《て》に作《つく》られた蔬菜《
前へ
次へ
全956ページ中279ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング