いつて居《ゐ》る。木《き》の灰《はひ》では油蟲《あぶらむし》の湧《わ》くのはどうも出來《でき》なかつた。それから又《また》根切蟲《ねきりむし》が残酷《ざんこく》に堅《かた》い莖《くき》を根《ね》もとからぷきりと噛《か》み倒《たふ》して植《うゑ》た數《かず》の減《へ》るにも拘《かゝは》らず、彼《かれ》は遠《とほ》く畑《はたけ》に出《で》て土《つち》に潜伏《せんぷく》して居《ゐ》る其《その》憎《にく》むべき害蟲《がいちう》を探《さが》し出《だ》して其《その》丈夫《ぢやうぶ》な體《からだ》をひしぎ潰《つぶ》して遣《や》る丈《だけ》の餘裕《よゆう》を身體《からだ》にも心《こゝろ》にも持《も》つて居《ゐ》ない。垣根《かきね》の胡瓜《きうり》は季節《きせつ》の南《みなみ》が吹《ふ》いて、朝《あさ》の靄《もや》がしつとりと乾《かわ》いた庭《には》の土《つち》を濕《しめ》しておりると何《なに》を僻《ひが》んでか葉《は》の陰《かげ》に下《さが》る瓜《うり》が、萎《しぼ》んだ花《はな》のとれぬうちに尻《しり》が曲《まが》つて忽《たちま》ちに蔓《つる》も葉《は》もがら/\に枯《かれ》て畢《しま》つたのであつ
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