で嫣然《にこり》とする時《とき》にはそれが却《かへつ》て科《しな》をつくらせた。
「勘次《かんじ》さん譯《わけ》のねえもんだな、まあだ此間《こねえだ》だと思《おも》つてたのにな、嫁《よめ》にやつてもえゝ位《くれえ》ぢやねえけえ、お品《しな》さんもおめえ此《この》位《くれえ》の時《とき》ぢやなかつたつけかよ」女房等《にようばうら》は又《また》揶揄半分《からかひはんぶん》に恁《か》ういふこともいつた。おつぎは勘次《かんじ》がさういはれる時《とき》何時《いつ》も赤《あか》い顏《かほ》をして餘所《よそ》を向《む》いて畢《しま》ふのである。勘次《かんじ》はお品《しな》のことをいはれる度《たび》に、おつぎの身體《からだ》をさう思《おも》つては熟々《つく/″\》と見《み》る度《たび》に、お品《しな》の記憶《きおく》が喚返《よびかへ》されて一|種《しゆ》の堪《た》へ難《がた》い刺戟《しげき》を感《かん》ぜざるを得《え》ない。それと同時《どうじ》に女房《にようばう》が欲《ほ》しいといふ切《せつ》ない念慮《ねんりよ》を湧《わ》かすのである。遠慮《ゑんりよ》の無《な》い女房等《にようばうら》にお品《しな》の
前へ
次へ
全956ページ中265ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング