は手拭《てぬぐひ》の被《かぶ》りやうにも心《こゝろ》を配《くば》る只《たゞ》の女《をんな》である。それが家《いへ》に歸《かへ》れば直《たゞち》に苦《くる》しい所帶《しよたい》の人《ひと》に成《な》らねばならぬ。そこにおつぎの心《こゝろ》は別人《べつにん》の如《ごと》く異常《いじやう》に引《ひ》き緊《し》められるのであつた。
 復《また》爽《さわや》かな初夏《しよか》が來《き》て百姓《ひやくしやう》は忙《せは》しくなつた。おつぎは死《し》んだお品《しな》が地機《ぢばた》に掛《か》けたのだといふ辨慶縞《べんけいじま》の單衣《ひとへ》を着《き》て出《で》るやうに成《な》つた。針《はり》を持《も》つやうに成《な》つた時《とき》おつぎは此《これ》も自分《じぶん》の手《て》で仕上《しあげ》たのであつた。夫《それ》は傍《そば》で見《み》て居《ゐ》ては危《あぶ》な相《さう》な手《て》もとで幾度《いくたび》か針《はり》の運《はこ》びやうを間違《まちが》つて解《と》いたこともあつたが、遂《しまひ》には身體《からだ》にしつくり合《あ》ふやうに成《な》つて居《ゐ》た。死《し》んだお品《しな》はおつぎが生《うま
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