《には》へ落《おと》す事《こと》がある。鰌《どぜう》は乾《かわ》いた庭《には》の土《つち》にまぶれて苦《くる》しさうに動《うご》く。與吉《よきち》が抑《おさ》へようとする時《とき》鷄《にはとり》がひよつと來《き》て嘴《くちばし》で啄《つゝ》いて駈《か》けて行《い》つて畢《しま》ふ。他《た》の鷄《にはとり》がそれを追《お》ひ掛《か》ける。與吉《よきち》はさうすると又《また》一《ひと》しきり泣《な》くのである。
「汝《われ》あんまりうつかりしてつかんだわ」おつぎは笑《わら》ひながら、立《た》つてる與吉《よきち》の頭《あたま》を抱《だ》いてそれから手水盥《てうづだらひ》へ水《みづ》を汲《く》んで鰌《どぜう》を入《い》れて遣《や》る。與吉《よきち》は水《みづ》へ手《て》を入《い》れては鰌《どぜう》の騷《さわ》ぐのを見《み》て直《すぐ》に聲《こゑ》を立《た》てて笑《わら》ふ。おつぎはさうして置《お》いて泥《どろ》だらけの手足《てあし》を洗《あら》つてやる。
與吉《よきち》は時々《とき/″\》鰌《どぜう》を持《も》つて來《き》た。おつぎは衣物《きもの》の泥《どろ》になるのを叱《しか》りながらそれ
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